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エースの意地、4年の意地。~早慶1回戦・延長12回の攻防~

早慶1回戦。

塾先発4年のエース加藤は、序盤こそもたついたものの5回以降尻上がりに調子を上げ早稲田打線を圧倒する。だが味方打線は早稲田投手陣の踏ん張りで得点を挙げることができない。打線の援護は無し、「自分こそが塾のマウンドを守ってきた。味方が得点を挙げるまでは、絶対に早稲田に点を与えることはできない。この戦いだけは絶対に負けられない。」という誇りと意地と気迫の投球で、規定の延長戦12回を0封、166球を投げ抜いた。

延長12回裏、早稲田のマウンドに立ったのは栄光のエースナンバー11を受け継いだ須田(3年)。延長は12回で打ち切りという規定により、早稲田の勝利が無くなってからの登板だった。「早稲田栄光の11番を背負うからには、慶応だけには絶対に負けられない。」須田も気迫みなぎる精悍な顔だった。

この須田に対し、塾は最後の早慶戦となる4年生達を代打に起用し攻勢をかける。先頭の代打大伴(4年)がしぶとくレフト前に落とすと、続くエース加藤の打席には代打二宮(4年)を送り、その二宮がキッチリ犠打を決める。早稲田・須田のコントロールは、球場を包む異様な熱気と興奮、「エースの意地に欠けても点を許すわけにはいかない。」という気負いからか微妙に狂いだす。1番難波(4年)を何とか打ち取ったものの、際どいコースがことごとくボールと判定され、2番宮田(4年)、3番代打の竹内(4年)に連続四球を出してしまう。

2死満塁。早稲田のマウンドを死守するのはエース須田。打席にはこの日佐藤翔(4年)にかわって4番に座った青池悠五(4年)。須田が青池に投じた7球目がボールとなり、カウントは2ストライク3ボール。

0対0。延長12回裏、2死満塁、2ストライク3ボール、マウンドは早稲田のエース須田、打席は慶應の4番青池。球場全体のボルテージはクライマックスに到達、息をするのも忘れてしまう、もうこれ以上の場面は無い…。

8球目、ファウル。9球目、ファウル。10球目、ファウル…。一球ごとに大きなため息とどよめきが沸き起こる。

そして、11球目。青池のバットから放たれた打球は、高く弾んで早稲田の名手ショート本田(4年)の右頭上に。本田はこれを好捕したものの人工芝に足を滑らせ一瞬バランスを崩す。青池は懸命に一塁へ走る。本田も懸命に一塁へ投げる。

「セーフ!」塁審の腕が左右に開かる。一塁を駆け抜けた青池はそのままライトライン上を走りながら躍り上がって歓喜のガッツポーズ、自らのヘルメットを暮れ始めた秋の澄み渡る青空高くに放り投げた…。

「延長12回、慶応1-0早稲田」…平成19年10月28日、早慶1回戦は歴史に残る名勝負でありました。

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