読書

劔岳<点の記>、映画化。

吉村昭、城山三郎、そして新田次郎。私が大好きな作家の皆さんです。特に新田次郎は学生時代のめり込みましたね。小学校高学年のとき居間のコタツの上に無造作に置かれていた「八甲田山死の彷徨」を手に取ったのが、新田次郎との出会いでした。

日露戦争前夜、開戦を想定して行われた極寒の八甲田雪中行軍中に遭難した青森歩兵5連隊の悲劇を描いた作品で、森谷司郎監督で映画化もされています。何の気なしに読み始めたのですが、その大自然の猛威を描いた表現力にグイグイ引き込まれ、あっという間に読みきってしまったことを覚えています。

それからというもの「火の島」「富士山頂」「芙蓉の人」「聖職の碑」…新田作品を次から次へと読み漁るようになり、圧倒的な大自然の描写、弄ばれながらもその大自然に果敢に挑む人間の姿を描くという作品の魅力にとり憑かれ、読後には満足感をはるかに超越しもはや脱力感に似た感覚を覚えるんだけれども、また直ぐに読み返したくなるという新田中毒とでもいうべき症状に陥っていました。

そして私が、数ある新田作品の中で最も愛してやまない作品が「劔岳<点の記>」です。

当然ですがこの作品ももうページが擦り切れるほど何度も読み返しています。

内容は日露戦争直後に陸軍参謀部から前人未到峰といわれた劔岳山頂に三角点を埋設するよう命令を受けた柴崎芳太郎測量技師が、北アルプス立山連峰の過酷な自然に立ち向かい様々な困難を克服し三角点埋設を成し遂げるまでの足跡を描いたものです。

作品を読んでからというもの、(あまりにも困難そうなので)劔岳登山ははなから無理だとしても、何としてでもこの眼で劔の姿を見てみたいという思いが強くなり、もう10回以上立山アルペンルートを訪れました。室堂平・みくりが池から、そして立山雄山山頂から臨む劔の勇壮な姿を見るたびに、身震いが止まらないほど感動したのを覚えています。

その「劔岳<点の記>」が今年の6月20日からロードショー公開(木村大作監督、浅野忠信・香川照之主演)されることを知りました。

この作品の世界がどのように映像化されるのかとても楽しみである一方で、これまで読み返すたびに心の中で築き上げてきた世界観が崩されはしないかという不安もあります。

観に行くべきか、行かないべきか…。

まぁ、どちらにしても公開前までに久し振りに「劔岳<点の記>」を読み返して、それからどうしようか判断しようと思います。

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GWに読書などいかがでしょう?

完全文系型人間の私、塾高時代の生物の成績は生物担当教員がクラス担任だったにもかかわらず赤点の評価の[D]。

そんな私でもハマってしまった一冊の本をご紹介いたします。本の題名は…

 『生物と無生物の間』 福岡伸一著  講談社現代新書

これは面白かったですね。ここ数年間で読んだ本の中ではナンバーワンですね。その内容にぐいぐい引き込まれ1日で読みきってしまいました。

テーマは「生命とは何か?」「生命の定義とは?」。

それまで何となく「生命活動」「生物」とはこういうことなのだろうと漠然ととらえられていたことを、生物学者達が物理学・化学的アプローチで「生命とはこういう物だ」という定義付けを試みようとする歴史が、その定義の根拠となる発見や理論等を交え、例えを使って非常に分かりやすく説明されています。生物学の知識がそれほどなくても「ほほ~」「そうなんだ」と納得?感心?驚き?ながら読み進めることができます。読後、書かれていた本の内容を自慢げに話したくなる衝動に駆られる本ですね。

内容を詳述してしまいますと、読む楽しみがなくなってしまいますのでキーワードとなる言葉をいくつか書き記しておくだけにしたいと思います。

  • 遺伝情報の担い手は核酸(DNA)
  • 対構造と自己複製システム
  • 原子の「小ささ」と平均的な「ふるまい」
  • 砂上の楼閣
  • 秩序は守られるために絶え間なく壊されなければならない
  • 動的平衡
  • 柔らかな相補性
  • ノックアウトマウス
  • 機械的・操作的に扱えない

いかがでしょう。知的好奇心が刺激されてきませんか?

ゴールデンウィークに昼からビール片手にのんびりと本でも読もうか…と思っている方、是非この『生物と無生物の間』を候補の一つに選んでみてはいかがでしょうか?

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「先生」の生まれた日。

築地鉄砲洲にあった江戸・中津藩中屋敷で、住み込みで蘭学を教えていた福沢諭吉が1858年に開いた「一小家塾」という蘭学塾が、慶応義塾の始まりとされています。

そこから福沢諭吉の「実学」の教えは、慶応義塾と共に塾員・塾生の間に脈々と受け継がれ、2008年の今年、開塾150周年という記念すべき節目の年を迎えることとなりました。

そして今日、1月10日は慶応義塾でただ一人の「先生」である福沢諭吉生誕の日であります。1835年1月10日のことです。

塾高野球部・上田誠監督が、野球部員に向けたこの冬休みの推薦図書10冊の第1番目に、福沢諭吉の著した「学問ノススメ」を挙げ、

『ビックリするくらい新鮮!この本には抽象論は一つもない。現在および未来への実践的提言である。福沢‘実学’に勝る人生勉強はない』

と評していて、2年生部員必読書としています。

(『 』内、塾高野球部HPの M’s Talk より引用させていただきました。)

福沢先生生誕の今日、久しぶりに「学問ノススメ」を読んでみようかな…。(確か、屋根裏部屋の本棚で埃をかぶっていた筈…。)

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作家の思い。

昨日、私が大好きな作家の一人、城山三郎さんがお亡くなりになりました。城山三郎さんの作品では、広田弘毅首相の「落日燃ゆ」、渋沢栄一の「雄気堂々」、浜口雄幸・井上準之助の「男子の本懐」が私のベスト3です。実在の人物をモデルにした力強い文章が魅力だったのですが、もう新しい作品が読めなくなると思うと大変残念です。

これで私の大好きな作家3人(新田次郎、吉村昭、城山三郎)がすべてお亡くなりになってしまいました。しかし作家が作品にこめた思いは活字として残り、読者に読み継がれ時代を超えて永遠に生き続けていきます。本という媒体の素晴らしさはここにあるのだと思います。

城山三郎さんのご冥福を心より申し上げます。

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